社会人大学院受験記 -筑波大学大学院カウンセリング学位プログラム修士課程-

社会人大学院
この記事は、広告宣伝・PR用のWEBコンテンツやパンフレット、映像などの制作に携わっている広告関係の部署や、ブランドマーケティングの部署で活躍されている方に、お役立ていただけるようなヒントを、「心理」「医療」を専門として広告会社にいる立場から、ご紹介していきます。 今回は、「社会人大学院受験記」がテーマです。 直近2記事は、医療・ヘルスケア関係で広告・PRに携わっている方々に、ほんの少しお役に立てそうな内容、「バイアス」「ChatGPT」をテーマに更新しました。今回は、少しだけ横にそれて筑波大学大学院「社会人大学院受験記」について更新したいと思います。受験をお考えでない方は次回の更新をお待ちください! というのも、私が修了した社会人大学院、筑波大学大学院 カウンセリング学位プログラムへ、受験を試みようという方のアクセスが思った以上にあることが分かりました。しかしながら、大学院の受験や研究に関することは何も触れていなかったので、これでは期待に添えていない!と思い、期待外れにならないように、1記事更新しようかな、と思ったのが動機です。

最も大切なのは『受験の意志』

社会人大学院とは、その文字の通り、社会人でありながら修士課程もしくは博士課程に所属し、一定の専門分野における知識や技術の習得と研究を行うところです。つまり、社会人大学院は高度の専門性を備えた専門的職業人の育成もしくは研究者の育成が目的とされるところです。 私が社会人大学院を目指そうと思ったきっかけは、別で記載するとして、筑波大学大学院を受験しよう!と思ったのは、毎年春に開催されるオープンキャンパスに参加してからです。先生方の話から研究やカリキュラムについて、在学生の学生生活に関する話を聞き、その日のうちに“やってみるぞ!”と決意しました。それまでは、私には高いハードルではないか。場違いではないか。さまざまな迷い、葛藤がありました。しかし、やると決めたら突っ走るしかありません。5月のオープンキャンパスから願書提出までわずか2カ月弱。いくつもの書類の記入から、必要書類をそろえる準備をしました。その中でも、1つ目の大きなハードルは「研究計画書」でした。

研究計画書は『独りよがりにならない』

研究計画書とはこの場合、「大学院に入学してから行いたいと考えている研究の内容と、その研究を行うための具体的な計画についてまとめたもの」です。 私にとって初めて書く研究計画書。お作法そのものから何も知りませんでした。ですが、お作法の前に今の私改めて重要だと感じているのは、自身の身近に起きている社会的課題を、心理学でどのように明らかにし(その単一研究の中では実現できなくても)、どう社会へ還元できたらいいか、ということまでを丁寧に考えを重ねることです。 「こういう人たちはどう考えているのか知りたい」「このような悩みを持った人はどういう特性をもっているのか」という興味本位に近いものや、「本当はこうあるべきなのに、なぜそれができないのか明らかにしたい」という自身の信念が強く反映される、いわゆる“べき論”がスタート地点となっている研究は独りよがりになりがちかと私は思います。筑波大学の社会人大学院、特に私の修了したカウンセリング学位プログラムは、「現場の知を実践の知へ」が理念です。私はとてもよい言葉だな~と常々思っているのですが、現場の経験から培われた問題意識から、研究という手段を用いて明らかにし、社会に還元して実践に活かしていくこと、もっと言うと活かしていく必然性のある研究が求められています。個人的な興味関心からスタートするのもよいかとは思いますが、その研究をして、誰の、何に役に立つのか?というのに疑問を感じる研究はなかなか厳しいかもしれません。

研究計画書のお作法は先行研究から

研究計画を作成するには、比較的短文にまとまっている、学会で発表されている抄録を見るとイメージしやすいかもしれません。抄録とは、英語でアブストラクトabstructといい、研究論文や学会発表の要点を短くまとめたものです。 社会的背景、方法、結果を得られた後の活用の見通し、といった流れになります。受験にはA4サイズ1枚の中にコンパクトに要点をまとめて提出する必要があります。特にカウンセリング学位プログラムは、心理学ですから、日本心理学会のポスター発表の抄録が、ちょうどA4 1枚にまとめられており、分かりやすいかと思います。 と、ここまで偉そうに記しましたが、これといって正解は正直わかりません。受験時の私の研究計画書もいま読み返すと、完全門外不出レベルだなと、改めて恥ずかしく感じます・・・。ただ、私は仕事柄、医療系の学会には年10回ペースで参加をしていましたし、医学論文や学会抄録はよく読んでいたので、いわゆる論文の作法は身についていたのかもしれません。しかしながらこれは心理学分野の研究計画書ですので、分野に沿った作法が必要になります。医学の論文作法と心理学の論文作法は全く異なります。もちろん、経済学などとも異なります。そのため、心理学の論文を多少なりとも読んでおく必要はあると思います。

勉強法は人ぞれぞれ

7月に願書を出したら、筆記試験までは1ヶ月です。私の受験勉強は願書提出時からがスタートでした。今から考えれば無謀そのものですが、私は心理学の用語が網羅的にまとまっている参考書1冊で勉強しました。勉強法は人それぞれですので、特に私の方法を披露しても役には立たないと思いますので割愛しますが、参考書もたくさん出ていますし、不安なら予備校もあるようですし、皆さんそれぞれの勉強法で臨んでいただければと思います。

試験当日は研究への思いを吐き出すこと!

筆記試験は、今まで努力してきたことを最大限アウトプットしてください。120分の筆記試験ですので、書き続ける練習も必要です。整理しながらしっかりと筆記に対応しましょう!1日目の筆記試験の合否は当日の夜です。見事合格した場合、翌日が口述試験(面接)になります。 口述試験ではたった数分しか割り当てられません。ここでは、ぜひご自身が大学院を目指そうと思ったこと、研究したいと思ったことをありったけ吐き出してください。私自身の面接試験は、とにかくここで研究したい!という思いを面接官の先生方(今振り返ると、私の研究主指導教員と、修士論文副査の教員お二人という運命的な面接でしたが)には存分にお伝えできたと思います。舞い上がって研究計画で変な回答をした記憶もありますが、後悔なく面接が終わったことを記憶しています。

大学院はOutputするところ

よく一般に、”大学院では○○を学びたい“という言葉を聞きますが、私自身は少しニュアンスが異なると思っています。大学院ではもちろん学びもありますが、大学ではありませんので、学問を通じて、何かしら社会に還元できるスキルを身に着けるところだと思っています。もちろん講義はありますし、講義を受けなければ修了要件に必要な単位も得られません。しかしながら、講義をたくさん受けてInputして、一定の課せられた単位を修得したら(=身に着けたら)修了、ということではなく、講義を受けてInputして、研究への下準備をし、研究を行い、結果を出す、つまりOutputするということだと思います。この意識がないと、せっかく大学院に入っても、”あれ?何かイメージと違う?“と思うことや、研究の壁にぶつかることにもつながるのではないかな、と思います。 ただ、心理学系大学院は、国家資格である公認心理士や、民間資格である臨床心理士の受験をするためのカリキュラムを組んでいるところもあるかと思いますので、つまり高度専門職の育成という意味合いの大学院もありますので、その場合はそこまで当てはまらないかと思います。

筑波大学大学院にご縁があってよかった

私は運よくオープンキャンパスに足を運んだことから受験、合格、入学、修了と過程を経ることができました。怒涛のようでしたが、私は心理学が研究できて、というより、筑波で心理学が研究できてよかったなと改めて思っています。 2年間のカリキュラムをこなすのは本当に大変ですが、必ず得られるものがあります。社会人との両立は大変ですが、アクセスも丸の内線茗荷谷駅から徒歩3分くらいの好立地で通いやすいです。校舎もきれいですし、図書館も充実しています。ちなみに図書館は放送大学の書籍もありますので(筑波の学生は閲覧のみで貸出はなし)、多くの領域の書籍に触れられます。 もしこの記事をご覧になって、ご興味をお持ちの方は、まずはぜひオープンキャンパスに足をお運びいただければと思います。もしかしたら学内のどこかでお会いできるかもしれません…! 【リンク】 筑波大学大学院 人間総合科学学術院 人間総合科学研究群 カウンセリング学位プログラム (博士前期課程) サイト

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