学会で発表すること・学会に参加すること ~日本心理学会第88回大会にて発表しました~

学会発表

今月、熊本にて日本心理学会が開催されました。

コロナ禍の2020年は完全オンライン、その後ハイブリッド、対面中心へとこの数年で開催形式が変わっていきましたが、昨年から完全対面発表(一部はオンデマンド配信)となりました。

私自身は前回2年前の東京で開催された86回大会で発表をしました。その時でも発表会場は多くの参加者がおり、盛況でしたが、今回九州の会場であるにもかかわらず、かつ、私は最終日の最後の時間でしたが、多くの方々が参加され,大盛況でした。心理学領域も認知,パーソナリティ、臨床、犯罪・非行、社会、感覚・知覚、教育、言語、情動、行動など、多岐に渡っており、さらに,発表者は私のような現役大学院生をはじめ、社会人、研究者とバラエティに富んでおり、こういった方々と研究についてディスカッションできるのは、とても有意義な時間でした。

今回は、ポスター発表までの流れと、そもそも学会に参加することってどういうことなのか、を振り返ってみたいと思います。

心理学を学び始めたり、研究始めた方、今度参加してみようかな~?と思ってた方などに、ご参考にしていただけたら幸いです。

日本心理学会第88回大会 開催概要

学会名:日本心理学会第88回大会

会期:2024年9月6日(金)~8日(日)

場所:熊本城ホール

日本心理学会でポスター発表するまで

1.発表構想

まずは、学会で何を発表するかの構想からです。私の場合は、博士後期課程に在学していますので、博士論文の一部の研究結果を発表しました。

タイミング的には、2024年3月実査の研究データの分析結果がちょうどまとまったので、4月からのエントリー開始に合わせて、原稿を書き始めました。

2.投稿準備

原稿が整ったら、まずは、エントリーのためのアカウントを作成します。その後、発表エントリーのための原稿を作成し、登録します。エントリーに必要なのは、題目・副題(日本語と英語)、要旨(500文字程度)、キーワード(3つ)。その他,倫理申請の承認を得ているか、利益相反の有無などを答えた上でエントリーは完了します。

3.審査結果

エントリーの内容を踏まえて、審査が行われます。審査の結果何かあればコメントが返ってきます。私の場合は何もコメントなしで通過しましたので、いよいよA4 1枚の抄録原稿を作成します。

4.抄録原稿作成

抄録のフォーマットはWordファイルが学会から配布されますので,そのルールにのっとって原稿を作成します。題目、副題、名前、所属、キーワード、本文、引用文献に至るまでのフォントの種類、サイズ、文字間隔、文字数など細かく決められていますので、その範囲内に調整をして作成します。なお、日本心理学会における発表は、発表時の抄録原稿がJ-STAGEに掲載されます。

5.著者校正(1回)

抄録原稿を提出した後、1回だけ校正(修正)ができます。何か提出後訂正する必要が出てきたときはこの期間内に抄録を差し替えることが可能です。

6.ポスター作成

学会当日はポスターを貼付して参加者の方々とディスカッションをします。また、オンライン参加の方々にもご覧いただけるようにWEB登録をします。ポスターは初見の方でもパッと見て何の研究で、どういうことをして、結論はどうなのか、がはっきりわかることが重要です。形式は特に決まりがありませんので、ご自身のスタイルでよいと思います。私の場合は,母親と娘さんを対象にし、そしてインターネット情報を主眼とした研究でしたので、それがすぐにわかるようなデザインにしました。

7.ポスター印刷

ポスターサイズは横幅90㎝、縦は180㎝くらいまで可能です。街のプリント会社とかで印刷をしたり、持ち運びできるように布に印刷する方もいらっしゃいました。

8.発表準備

当日は、ポスターを基に発表をしますが、それ以外にも説明資料を準備します。マストではありませんが、ポスターをA4サイズに印刷してお渡しできるようにしたり、ポスター内に掲示できない研究データがある場合は,それを貼付したり、その研究に関連する前の研究データを使ってご説明する機会があることも想定して、ipadやPCですぐにお見せできるようにしたり。

いずれにしても、自身の頭に中にある研究背景から、今回の研究結果をスムーズにお話できるように、整理して、必要に応じてデータ提示できる準備をします。

コラム ポスターの運搬について

ポスターはかなり大きいので皆さんポスターケースに入れて持ち歩きます。持ち歩ける範囲内は何の問題もないのですが、問題は今回のように飛行機です。飛行機の機内持ち込み荷物は3辺の合計サイズが規定内なら持ち込めることになっているのですが、その範囲内であってもポスターケースは持ち込めません…(私は事前に調べていったのに結局手荷物に預ける羽目に)。

そのため、ポスターは国内であれば事前に宅配便でホテルに送ったり、現地で印刷したり。海外であれば100%手荷物預けを覚悟してください。飛行機に乗るときは余裕をもって、ですね。でもこれ、もし海外で行きにロストバゲッジしちゃったら悲しいですよね…

9.発表当日

日本心理学会は、発表者が多いため,掲示しっぱなしの通常のスタイルではなく、発表直前に貼付し、発表が終わったら速やかにはがすという私としては初めての形式です。自身の発表時間10分前までに会場に行き、エントリーし、自身の持ち場に行ってポスターを掲示します。

貼るときは、ポスターが水平になっているか、周囲の方の手助けをいただきながら慎重に貼付します。私の発表時間は15:30 〜 17:10。その中で在籍時間が決まっており、発表番号の偶数奇数で、前半か後半に在籍責任が決まっています。その時間帯には必ずポスターの前にいなくてはいけません。なお,当日くれぐれも注意が必要なのは、飲み物!どの時間帯もどの場所もとにかく多くの方が会場に参加されます。そしてどんな天候でも暑い!私はおかげ様で最初から最後までほぼしゃべりっぱなしのため、ペットボトルは1本なくなりました…

あと、記念写真もお忘れなく。大きなポスターの前で”ちゃんと発表したよ”という記録は撮っておきましょう。

10.発表後

発表が終われば一息。あとは自身の興味あるセッションに参加します。ただ、私は最終日の最終時間だったため、そんな余裕な心もちで参加できるシンポジウムもなく、“終わった~!”という一杯もできずにすぐ空港に向かいました。

その後、訂正期間があります。J-STAGE1)に掲載する際に、訂正箇所がある場合は記載していただけます。この作業を終えたら、発表は終了です。

1).「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)は、国立研究開発法人科学技術振興機構 (JST) が運営する電子ジャーナルプラットフォームです。国内の多くの論文が掲載されています。 


学会に参加する意義

順番が前後しましたが、学会ってそもそも何でしょう。

私はもう20年ほどあらゆる医療系学会に参加してきました。

私なりに学会に参加する意義を考えるのですが、人によってもちろん優先順位はあると思いますが、私は下記の5点だと思います。

  1. 自身の専門領域の最新知見の習得とモチベーション向上
  2. 自身の研究の深化・研究業績
  3. 近しい領域の研究者,専門家との関係醸成
  4. 自身の所属している大学や研究機関,職場の人達との交流
  5. 企業情報の収集と書籍購入機会

もちろん、他の機会でもこれらが得られることもありますが、この5つが同時に叶うのは学会のリアル参加ではないかなと思います。研究発表がなくとも、研究発表を直接聴いてディスカッションすること、シンポジウムに参加することでも、十分に得られることがあると思います。

また、5番目の「企業情報の収集と書籍購入機会」って意外かもしれませんが、これとても有意義なんです。出展企業は、調査会社、出版社、校正会社、実験機器会社などです。私は調査会社に依頼する研究が多々あるのですが、いちいちWEBから問い合わせたりするよりも、一同に集まっていただいているので、最新のサービスや今構想している研究に対してどのような調査が可能かといったことも情報収集ができます。また、書籍もそうです。大型書店にいっても心理学の専門書がずらっと並んでいるところはなかなかありません。医学系の学会では大手書店会社さんが、ブースを出して販売されていますので、さまざまな出版社の書籍が購入(もちろん定価)できますが,心理学会は出版社がブースを出されています。そのため、出展されていない出版社の書籍は購入できませんが、実物を見ながら,概ね割引で購入できるのでこれはとても良い機会です。例にもれずに私は毎回購入し、今回も割引価格で、かつ送料無料で送っていただきました!(ありがとうございました!)

日本心理学会第88回大会に参加して

今回は、熊本という地方開催で、かつ市内が空港から遠い県だったので、少し躊躇しましたが、結論として、参加して本当によかったです。

熊本地震から早8年。その時崩壊してしまった熊本城も、翌年に見事再建された姿を見ることができました。そして半導体企業の進出の影響からか、空港や駅などの街のインフラから、街の中心地も活気づいており,活気を感じることができました。

さらに、復興した熊本城に,日本心理学会が貸し切りナイトツアーも企画してくださり(有料)、美しくライトアップされた熊本城ときらびやかな街並みを見ることができたのも貴重な経験でした。

来年は仙台での開催です。今から何発表しようかな~とネタを考えております。また来年の収穫を楽しみにしています。こちらをご覧いただいた方でご参加された方は是非お声掛けくださいませ。

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